Abstract : |
細菌性脳動脈瘤は, 感染性心内膜炎の合併症の中でも最も重大な合併症の1つであるが, 自験例3例をもとに, その外科治療上の問題点について検討した. (1)全例頭痛を訴え, その他に意識障害や髄膜刺激症状などの脳神経症状も呈した. また多発性塞栓症状も全例に認められた. (2)診断はまずCTscanを行い, 脳血管造影にて確定診断した. 検査を繰り返し行うことにより, 動脈瘤の消長を知ることができた. (3)感染がコントロールされた2例のうち1例は動脈瘤が縮小した後心臓手術を行い, 他の1例は動脈瘤が拡大したため動脈瘤を切除した後, 二期的に心臓手術を行った. 感染がコントロールできなかった1例は活動期に心臓手術を行い, 術後脳内出血を来したが幸い脳神経症状を残さずに回復した. 以上より, 感染性心内膜炎においては, 細菌性脳動脈瘤合併の可能性を常に念頭において臨床症状に注意し, 疑いがあればCTscanや脳血管造影を繰り返し行う必要がある. 治療は原則として脳動脈瘤の処置を優先するが, 感染をコントロールできない場合や心不全が高度の場合には心臓手術を優先すべきであると考えられた. |