アブストラクト(36巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 活動電位からみた心筋保護液電解質組成の心筋膜機能に及ぼす影響
Subtitle : 原著
Authors : 吉田勝彦, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 7
Page : 1049-1058
Year/Month : 1988 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心筋保護液が心筋細胞の膜機能に与える影響を検討するために, モルモットの右室乳頭筋を用いて, その膜電位及び活動電位を測定した. 心筋保護液を, 温度36℃, 浸透圧308~382mOsm/l, pH7.5~8.0, 2時間灌流の条件に固定して実験を行い, 以下の結果を得た. 1)Hypoxiaは一過性の活動電位の減弱と, 刺激閾値の上昇を来す傾向にあった. 2)高K液により完全な電気的心停止を得るには, 20mEq/lのK濃度が必要であった. 3)高K液のK濃度は, 80mEq/lまでは活動電位に不可逆性の変化を与えなかった. 4)K濃度を20mEq/lとした無Ca液では, Na濃度のいかんにかかわらず, 活動電位の減弱あるいは刺激閾値の上昇を来し, その回復は不完全であった. 5)K濃度20mEq/lにおいて, Ca濃度が2mEq/l及び4.8mEq/lの灌流液はほぼ同様な結果を示した. 両液においては, Na濃度が120mEq/lの液のみが活動電位の減弱, 刺激閾値の上昇から回復可能であり, それよりNa濃度の低い液は, 活動電位の変化は不可逆性であった. 以上より心筋保護液の電解質組成としては, K20mEq/l, Ca2mEq/l, Na120mEq/lが適当であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋細胞膜機能, 活動電位, 静止膜電位, 心筋保護液
このページの一番上へ