アブストラクト(36巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 特発性血気胸28例の経験
Subtitle : 原著
Authors : 大森一光, 大畑正昭, 奈良田光男, 飯田守, 中岡康, 伊良子光正, 北村一雄, 中村士郎, 名取宏, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 7
Page : 1059-1064
Year/Month : 1988 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 自然気胸に血胸を伴った特発性血気胸は報告例も少なくまれな疾患と言われている. われわれは胸腔内に400ml以上の出血が見られた症例を対象として検討を加えた. 当教室の全気胸症例は638例で, そのうち特発性血気胸は28例(4.4%)であった. 男性13例, 女性2例で圧倒的に男性に多く, 年齢は19~49歳で平均26.5歳で20~29歳に20例(71.4%)が見られた. 左右差はなく右側13例, 左側15例であり, 臨床症状は一般の気胸より強い胸痛を主訴とする症例が多く, 28例中25例が胸痛を主訴としていた. 1, 000ml以上の大量出血群と1,000ml未満の出血群に分類すると前者18例, 後者10例であった. 経過中にショック状態を呈したのは7例(25%)にみられいずれも大量出血群であった. 手術は, 28例中27例に施行され, 緊急手術は13例(46%)に行われ, いずれも大量出血群であった. 手術時明らかな出血の見られたのは7例(25.9%)で肺と壁高胸膜との索状癒着の断裂による壁側胸膜側からの出血であった. 12例(44.4%)においては出血部位の推定が可能で, 8例(29.6%)は出血部位不明であった. 手術術式は24例に血腫除去と肺部分切除が行われ, 血腫除去に右上葉切除が1例, 肺剥皮術が1例それにドレナージのみが1例施行された. 手術後の経過は良好で, 全例軽快退院して, 術後肺の再膨張も良好で再発症例は無い. われわれの28例の臨床経験より, 開胸術は出血部位の処理, 気胸の原因である気腫性嚢胞の切除, 胸膜肥厚を残さず治癒及び治療期間の短縮などの利点があり, ショック治療法や麻酔法の進歩した現在では開胸術の安全性は向上しており, 特発性血気胸は積極的に早期に開胸術を行うべき疾患と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 特発性血気胸, 血腫除去, 胸腔ドレナージ
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