アブストラクト(36巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 三尖弁閉鎖不全を伴う連合弁膜症の治療 ―TVSI法及びTAP法の検討―
Subtitle : 原著
Authors : 松浦昭雄*, 阿部邦彦**, 井野隆史, 鰐渕康彦, 古田昭一
Authors(kana) :
Organization : 三井記念病院循環器外科, *名古屋大学医学部胸部外科, **岩手医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 7
Page : 1075-1081
Year/Month : 1988 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : われわれは高度の三尖弁病変に対して三尖弁置換術の代わりに, 右室機能の温存と刺激伝導系の障害防止の目的で, 三尖弁温存・人工弁右房状高位縫着術(Tricuspid Valve Supra-annular Imposition:TVSI)を行っている. 1977年1月から1985年2月までに当院で成人に対して行われた生体弁による僧帽弁置換術394例中, 三尖弁逆流に対し弁輪形成を同時施行した94例をI群, TVSIを同時施行した39例をII群として比較検討した. 病院死亡は, I群9例(9.6%), II群6例(15.4%), 遠隔死亡はI群10例(10.6%), II群3例(7.7%)であった. 両群の1年生存率は88.2±3.4%及び84.2±5.9%で, 8年では74. 0±5.3%及び75.3±7.2%である. 耐術者累積生存率では, 1年生存率は97.6±1.7%及び100%, 8年では, 82.0±5.2%及び89.4±5.8%であり, II群TVSIの成績はI群TAPと比べて有意差がなく, 良好であった. 右心機能の術前後の比較では, コントラストエコーの右心房内停滞心拍数及び右鎖骨中線上での肝臓触知幅は, 術後II群のみ有意に改善した. 下大静脈径及び下大静脈内コントラストエコー逆流度数は, 両群とも術後有意に改善したが, II群でより著明に改善が得られた. 心胸郭比及びNYHA心機能分類は両群とも有意に改善した. ドップラー検査ではII群で有意にTRの残存が少なかった. 僧帽弁膜症に合併した三尖弁閉鎖不全に対して, TVSI法はより完全にTRの修復が得られ, 遠隔成績も満足できるものであり, 高度のTR症例に対しては有用な術式であると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 生体弁, 三尖弁置換術, 三尖弁輪形成術, TVSI
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