Authors : |
奥孝彦, 小池龍, 蓑原靖一良, 佐藤晴瑞, 福本仁志, 村木宏要, 木村弘, 佐々木進次郎, 武内敦郎, 柿本祥太郎* |
Abstract : |
虚血性心疾患20例を対象とし, 冠状動脈バイパス術後急性期における内因性のカテコラミン(CA)の変動と, ドパミン持続投与がCA血中濃度に及ぼす影響を検討した. 手術前日と体外循環(ECC)開始直前, 終了直後, 1, 3, 6, 9, 12, 18, 24時間後に臥床安静の後, 動脈血を採取しラジナ酵素アイソトープ法でCA3分画(ドパミン;DA, ノルエピネフリン;NE, エピネフリン;E)の定量を行った. 体外循環終了後1時間以内に血行動態が不良であった8例にDA 5μg/kg/minの投与を行い, CAを全く投与しなかった12例と比較検討した. 術前とECC開始直前のCA血中濃度では両群間に有意差は無かった. DA非投与群では, 内因性DA濃度が全く変動を認めず推移し, 血中NE濃度, E濃度もDA投与群のそれらに比し, 低値で経過した. 一方, DA投与群の血中DA濃度は明らかな高値を示し100~50ng/mlで推移し, NE及びEも有意に高値で経過した. 更に, EとNEの血中濃度には高い相関を認めた(r=0.747p<0.01). 以上から, 体外循環終了後の血行動態不良例に対するDA5μg/kg/minの持続投与は, DA血中濃度を高値に維持し得, 次いでNE血中濃度の増加を招き, 更にEの血中濃度増加をもたらすものと推測された. またDA投与時の血中濃度からみて, NEはα-アドレナリン作働性受容体刺激作用として, Eはβ-アドレナリン作働性受容体刺激作用として心血管に作用することが推測された. |