Authors : |
柴光年, 山口豊, 木村秀樹, 小川利隆, 山川久美, 川野裕, 卜部憲和, 藤沢武彦, 長尾啓一*, 栗山喬之* |
Abstract : |
肺非小細胞癌進行期例のうち, 当施設にて術前に施行したCDDPなどを中心とした多剤併用化学療法にて腫瘍縮小効果を認め, 引き続き外科切除術を施行した7例につき, 術前化学療法の役割を検討した. 7例の組織型は腺癌4例, 大細胞癌3例である. 入院時の臨床病期分類では, 4期2例, 3期5例(T3N2 3例, T2N2 2例)であった. 術前化学療法のregimenは, CPA+VCR+ADM or MMC, あるいは, CDDP+VDS or VP-16である. 以上の化学療法を術前に1~3クール施行した. 胸部X線写真上の腫瘍縮小効果は, 面積比による縮小率で, PR3例, MR2例, NC2例で, TN因子の改善は7例中4例に認められた. 手術術式は全例肺葉切除術で, うちsleeve lobectomy1例, 胸壁合併切除術2例が含まれている. 根治度では絶対的治癒切除術2例, 相対的治癒切除術3例であったが, 他の2例は, PM1及び斜角筋リンパ節陽性でM1のため絶対的非治癒切除術としたが明らかな腫瘍の遺残は認められなかった. 切除肺による病理組織診断では, 中分化型乳頭状腺癌2例, 中分化型管状腺癌2例, 大細胞癌3例で, 化学療法の病理組織学的効果は, grade IIb5例, IIa1例, I1例で, 胸部X線写真上の腫瘍縮小率とよく相関した. 術後は術前と同様の化療を1~3クール施行し, 現在他病死の1例を除き全例生存中で, 最長例は24ヵ月である. 以上, 進行期非小細胞癌の術前化学療法は, 術前化学療法の導入により奏効例では病期の改善による治癒切除率の向上が期待され, また有効な化学療法の選択にも有益であると考えられた. |