アブストラクト(36巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高齢者(70歳以上)肺癌の肺剔除術例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 野々山明, 斉藤幸人, 大本一夫, 梅本真三夫, 桜井義也, 田中一穂, 藤尾彰, 香川輝正
Authors(kana) :
Organization : 関西医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 7
Page : 1096-1105
Year/Month : 1988 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和53年1月から61年12月までの9年間に70歳以上の肺癌50例に肺切除術を行ったが, そのうちの10例には肺剔除術が行われた. この10例の術前後の肺機能及び術後の合併症, performance statusなどを検討するとともに, 70歳未満例の肺剔除術例(54例)及び70歳以上の肺葉切除術例(40例)での成績と比較した. この10例は右肺剔除2例, 左肺剔除8例で, 男性9例, 女性1例, 年齢は70~73歳(平均71歳)で, 組織型は扁平上皮癌7例, 腺癌2例, 大細胞癌1例であった. 10例の肺剔除術後, 1ヵ月以内の死亡はなく, 術後重篤な心肺不全に陥ることもなかった. 術後1年以内に3例が死亡したが, 現在5例が生存中(最長5年以上)であり, 生存率は1生率70.0%, 3生率及び5生率は47.4%であり, 術後合併症発生率及び生存率よりみて, 70歳未満の肺剔除術例, 70歳以上の肺葉切除例の成績に比して遜色のないものであった. 術前肺機能検査値と肺血流シンチグラフィの左右分布比から得られた予測値と術後2ヵ月より1年の間に測定された実測値(8例)との間には, 殊にFVC(r=0.80), FEV1.0(r=0.87)で高い相関がみられ, この年代層においても肺血流シンチグラフィを用いた術後予測肺機能による評価は有用な方法と思われた. 術後に予測されるFVCが1.2l以上, FEV1.0が0.75l以上であれば, 比較的安全に肺剔除が行われ, 術後も良好なperformance statusを維持し得るものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 高齢者肺癌, 肺剔除術, 術後予測肺機能, 肺血流シンチ
このページの一番上へ