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本研究の目的は非酸素化クリスタロイド(CCsO2), 酸素化クリスタロイド(CCcO2), 酸素化血液(BCcO2), 酸素化Fluosol-DA(FCcO2)心停止液の心筋保護効果を比較検討することである. 実験は雑種成犬を用い各グループ7頭の28頭で行った. 体外循環下, 軽度低体温のもとで120分の大動脈遮断を行い虚血前, 遮断解除後45, 60分で心機能の測定を行い比較検討した. 心機能は超音波振動子, Millar社製カテーテルチップトランスデューサーを用い測定し, コンピューター(DEC, PDP-11/23)を用いて分析した. 虚血後の左心機能の回復率はCCcO2, BCcO2, FCcO2群がCCsO2群より有意に良好であった. CCcO2, BCcO2, FCcO2群間には有意差がなかった. 局所左心機能の回復率も同様の傾向を示した. 虚血後の圧負荷による心機能曲線ではCCsO2群：34.6±11.3；CCcO2群：77.4±18.2；BCcO2群：92.6±29.2；FCcO2群：83.8±11.8とCCsO2群が有意に低値であった. 心筋水分量はCCsO2群が82.2±0.7%, CCcO2群が79.6±0.4%, BCcO2群が79.0±0.2%, FCcO2群80.1±1.1%とCCsO2群が他の3群より有意に多かった. 結論：今回用いられた心筋温においては心停止液の酸素化の有用性が示唆された. CCcO2, BCcO2, FCcO2の3種の酸素化心停止液の間では心機能の回復に差がみられず, 経済性また易使用性よりCCcO2液の有用性が示唆された. |
