Abstract : |
食道癌進行度診断能の向上を目ざし, 新しい画像診断法として術中超音波検査(OUS)を食道癌手術中に導入した. 大動脈浸潤陽性3例を含む進行食道癌30例の開胸直後に, 7.5MHzの高周波装置を用い術中走査を行った. 腫瘍兼大動脈縦断走査及び横断走査によって, 大動脈壁自体の描出や大動脈に対する腫瘍の微妙な可動性を検査でき, OUSによる食道癌大動脈浸潤の判定基準を設定できた. その結果, computed tomographyや超音波内視鏡などによる術前検査にはfalse positiveが3例, false negativeが1例あったが, OUSは30例全例に正診を得た. 胸部所属リンパ節はOUSで3mm大のものまで検出可能であり, 開胸側とは反対側縦隔のリンパ節, 例えばBotalloリンパ節の検索も行えた. しかし, リンパ節転移の質的診断能には限界があり, OUSの応用上注意を要した. 胸腔内からの経横隔膜的OUSによる肝臓の走査法を考案し, 術前検査よりも正確に肝転移の精査を行えた. その他, 転移陽性リンパ節による血管浸潤の診断にもOUSを利用できた. OUSは開胸直後の組織剥離前にも短時間に施行でき, 術前検査では得られない食道癌進行度診断上の情報を提供できることから, 進行食道癌に対する有用な術中画像診断法となりえる. |