アブストラクト(36巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弓離断症に関する実験的研究 ―胸部下行大動脈の慢性閉鎖犬の血行動態について―
Subtitle : 原著
Authors : 入沢敬夫*, 深沢学, 由岐義広, 根本元, 佐藤佳樹, 西村和典, 白田保夫, 中村千春, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科, *竹田綜合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 8
Page : 1264-1270
Year/Month : 1988 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心奇形を合併しない大動脈弓離断症では側副血行により下半身の血流が保たれるが, この血行動態について実験的研究を行った. 2mmシリコン小管内蔵の人工血管を上部胸部下行大動脈にバイパス移植し, その吻合部間で大動脈を結紮する手術を成犬13頭に施行した. 単に大動脈を閉鎖すると, 閉鎖末梢側への血流分布率は9%と著減するので, バイパスの設置は不可欠であった. バイパスは術後4週間以内に血栓により閉塞し, 胸部下行大動脈の慢性閉鎖を8頭に作成することができた. 下行大動脈閉鎖犬の血行動態は術後平均44日に検査した. 閉鎖犬では閉鎖末梢側の血圧は軽度低下し, 心拍出量は正常の下限であった. 血流分布率は正常範囲内であり, 閉鎖末梢側の腹部臓器, 腸骨動脈・下肢の血流量は側副血行により正常の下限に保たれた. 腎を含む腹腔臓器は組織学的に異常は認められず, 各臓器への血流は良好であることを推測させた. 薬物負荷による血行動態の変化を検討した. ノルアドレナリン負荷により閉鎖中枢側及び末梢側平均血圧はともに49%上昇し, 心拍出量は19%増加し, 左室仕事量は98%増加した. 腹部臓器血流量は不変ないし軽微増加にとどまり, その血流分布率はむしろ低下した. アルフォナード負荷により閉鎖中枢側及び末梢側平均血圧はともに40%下降し, 心拍出量は30%減少し, 左室仕事量は70%減少した. 閉鎖中枢側の血流分布率は増加傾向を示し, その血流量は20%減少するにとどまった. しかし腹部臓器血流量は40%減少した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弓離断症, 実験的胸部大動脈閉鎖, 小管束内蔵人工血管, 人工血管バイパス移植, 血行動態
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