Abstract : |
Hancock porcine xenograft(HX)とstandard typeのIonescu-Shiley pericardial xenograft(ISPX)症例の遠隔成績を検討した. HXは87症例で, 平均追跡期間は6年1ヵ月, ISPXは340症例で平均追跡期間は3年10ヵ月であった. Actuarial survival curveは両弁ともほぼ同様の推移を示し, 6年目の累積生存率はHXが82.5±4%であり, ISPXが82.4±3%であった. 弁機能不全発生率はHXが1.71%/patient year(%/p.y.), ISPXが1.53%/p.y.であった. HXの弁機能不全は4年目以降にみられたが, ISPXでは2年半以降に弁の破損を来すものがみられた. 5年目のevent free rateはHX97±2%に対しISPX 91±2%であった. 弁機能不全に対する再手術率はHXが100%, ISPXが95%であった. 人工弁感染性心内膜炎はHXで0.95%/p.y., ISPXで1.23%/p.y.の発生がみられた. 術後6年目のevent free rateはHXの96.0±2%に対しISPXが94.6±1%であり, 両弁間に有意差はなかった. 抗凝血薬療法施行率はHXが約67%であり, ISPXが約42%であった. 血栓塞栓症の発生率はHXが1.71%/p.y., ISPXが0.54%/p.y.であり, 抗凝血薬療法施行率が低いにもかかわらず, ISPXの血栓形成性は低い傾向を示した. なお, 三尖弁位での弁機能不全, 人工弁感染性心内膜炎, 血栓塞栓症は両弁とも認められなかった. 今回の結果から, HX, ISPXとも耐久性には問題があるように思われた. 更に, HXは抗血栓形成性にも問題があると思われた. |