アブストラクト(36巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 超音波内視鏡を用いた経食道超音波断層法による解離性大動脈瘤の診断
Subtitle : 原著
Authors : 岩崎甫, 鈴木章司, 秋元滋夫, 神谷喜八郎, 吉井新平, 橋本良一, 松川哲之助, 上野明
Authors(kana) :
Organization : 山梨医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 8
Page : 1277-1284
Year/Month : 1988 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 消化管疾患の診断用に開発された超音波内視鏡を用いて経食道的に胸部大動脈の超音波画像を描出し, この検査法の解離性大動脈瘤に対する診断能について検討した. 対象症例は手術, 又は血管造影などから解離性大動脈瘤と確診及び疑診とされた8例(DeBakey I型1例, IIIa型4例, IIIb型3例)である. 剥離内膜は大動脈内腔の線状エコーとして描出され解離の存在診断は容易であった. このエコー像の有無を上行大動脈から弓部及び下行大動脈へと調べることによりDeBakeyの型分類はこの検査法単独でも可能であった. 内膜亀裂部はこの剥離内膜エコーの断裂及び偽腔へ流入する血液による乱流エコーにより診断でき, 症例によっては複数の亀裂のあることを示した. 腹部大動脈以下にreentryを持つ例では部位診断はできなかった. 大動脈壁の細かい変化の描出能は他の検査法より優れており, 特に限局解離例の診断に優れた能力を示した. 一方上行大動脈の一部は気管が妨げとなるため描出されず, また主要分枝との関係の把握も困難であった. 以上超音波内視鏡を用いた経食道超音波断層法は, 比較的簡単な操作によってリアルタイムに胸部大動脈の動的な情報が得られる特徴を備えており, 他の検査による所見と合わせ検討することにより, これまでより細かいレベルの病変まで診断し得ると考えられ, 解離性大動脈瘤の病態の解析においてこの経食道超音波断層法検査の持つ意義は大きいものといえる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 解離性大動脈瘤, 胸部大動脈瘤, 経食道超音波断層法, 超音波診断
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