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小林博徳, 北村惣一郎, 大山朝賢, 河内寛治, 森田隆一, 西井勤, 川田哲嗣, 小林修一, 福富正明, 水口一三 |
| Abstract ： |
従来より女性における冠動脈バイパス手術(CABG)の成績は男性に比べて不良であると言われる. そこで, 本研究では単独CABGを受けた連続318例(女性49例, 男性269例)を対象として男女間における術前術中因子についての相違点を明らかにし, 更にこれらの相違する因子の手術死亡に及ぼす影響について検討した. 男女間で有意差のみられた術前因子は体表面積BSA(女性1.48m2, 男性1.65m2), 陳旧性心筋梗塞(49%, 65%), 狭心症の重症度(NYHA II度27%, III度27%, IV度46%, 同60%, 22%, 18%), 肥満(29%, 17%), 喫煙(29%, 88%), 高血圧(54%, 36%), 病変分枝数(1枝32%, 2枝17%, 3枝51%, 同16%, 31%, 52%), CI(2.84l/min/m2, 3.04l/min/m2), Cr(1.2mg/dl, 1.4mg/dl)であり, 術中因子は体外循環時間(115分, 130分), 大動脈遮断時間(72分, 80分), 平均冠動脈内径(1.6mm, 1.8mm), 平均グラフト流量(55ml/min, 66ml/min)であった. 判別分析の結果これら13因子のうち男女間で最も異なるものは順に, 女性の方がBSAが小さいこと, 喫煙が少ないこと, Crが低いこと, 肥満が多いこと, 高血圧が多いこと, 重症の狭心症が多いこと, 平均冠動脈内径が小さいことであり女性に不利な因子が多く見られた. しかし, 性差と手術死亡を比較した場合, 当教室においては女性0/49(0%), 男性6/269(2.2%)であり有意差を認めなかった. 従って, 確かに女性には男性と比べて不利な術前術中因子を多く認めるが, 厳重な術前術後管理と慎重な手術操作により克服し得るものと考える. |
