Authors : |
北村信夫, 野尻知里, 大滝正己, 山口明満, 美濃地忠彦, 田村栄稔, 跡部正明, 松本学*, 平塚博男** |
Abstract : |
Glutaraldehyde処理弁としてのCarpentier-Edwards弁は広く臨床応用されてきた. 当施設にても, 1973年3月以降, 102例の弁置換術で使用した. そのうち, 予後が完全に追跡可能であった79例について, 遠隔期合併症を中心に. 当生体弁の長期耐久性につき検討を加えた. MVR:50, AVR:11, TVR:3, PVR:1, 多弁置換:14例で, 累積追跡期間は655.7患者・年, 最長13.6年, 最短5.1年(平均8.3年)の追跡である. 遠隔期死亡は全体で14例(2.14%/患者・年), 血栓栓塞症は8例(1.22%/患者・年), その致死例2例(0.31%/患者・年)であり, 置換弁心内膜炎(PVE)は5例(0.76%/患者・年), 致死1例(0.15%/患者・年)であった. 生体弁機能不全は19例(2.90%/患者・年), このうちで, いわゆるprimary tissue failure(PTF)は14例(2.14%/患者・年)であった. 再手術は術後平均7.3年目に14例(2.14%/患者・年)経験した. これらの合併症は術後4年目ごろより少しずつ増加しはじめ7~8年目以後, 加速度的に増加する傾向をみた. 特にPTFの最大原因である弁尖硬化は4年目以後, 経年的に確実に進行していることを認めた. 以上の検討より, われわれが用いた, いわゆる“第一世代”のC-E弁では, 術後7~8年目までは良好な弁機能を期待できるものの, 9年目以後はPTFを主とする合併症が急激に増加する傾向が強く, 厳重な管理を要することが明らかになった. |