アブストラクト(36巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 手術摘出肺の気道内分泌物の細菌に関する検討 ―特に術前諸検査及び術後合併症との関連について―
Subtitle : 原著
Authors : 佐藤雅美, 高橋里美, 菅間敬治, 太田伸一郎, 永元則義, 今井督, 斎藤泰紀, 須田秀一, 橋本邦久, 仲田祐
Authors(kana) :
Organization : 東北大学抗酸菌病研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 8
Page : 1311-1318
Year/Month : 1988 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 126例の切除肺の気道内分泌物を無菌操作下に採取して菌を培養し術前の諸検査値及び術後の合併症との関連を検討した. この結果非悪性疾患では53.9%に悪性疾患では10.6%に菌が培養同定された. なかでも気管支拡張症, アスペルギロームでは全例菌が検出された. 摘出肺より検出された菌は術前の喀痰とは非悪性疾患12.5%悪性疾患25%の一致率で, また術前の経気管支鏡的採取材料中の細菌とは非悪性疾患で50%悪性疾患で25%の一致率であった. 更に術前の臨床諸検査(血沈値, CRP値, 白血球数, 熱発)と摘出肺の菌の有無との関連を検討したが, これら検査値による摘出肺の菌の有無の推定は困難と考えられた. 肺癌例では扁平上皮癌で21.4%に菌が検出され非扁平上皮癌より高かった(p<0.05). 術式別に菌が検出される頻度をみると肺全摘例では肺葉切除例に比べ有意に高かった. 菌検出率の高い扁平上皮癌例で菌検出の有無とpTNM因子, 腫瘍最大径, 臨床病期, 手術根治度との関連を検討したがいずれの因子も明らかな関連は認められなかった. しかし気管支鏡で直接所見のあるものに高率であった. 術後の合併症(術後肺炎, 気管支断端瘻)は菌検出例で高率であった. 以上の結果から術前の諸検査より摘出肺から培養される菌の有無及び菌種を的確に推定することは困難なことが多いと考えられ, このため特に高率に菌が培養される炎症性疾患や気管支鏡下に直接所見を有する扁平上皮癌例では摘出肺から気道内分泌物を採取して培養し術後の抗生剤選択の参考とすべきと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 手術摘出肺, 気道内分泌物, 細菌, 術後合併症, 感染症
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