アブストラクト(36巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 喀血に対する治療成績の検討 ―気管支動脈結紮切除術を中心に―
Subtitle : 原著
Authors : カレッド・レシャード, 高橋豊, 糸井和美, 平田敏樹, 乾健二
Authors(kana) :
Organization : 市立島田市民病院呼吸器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 8
Page : 1333-1338
Year/Month : 1988 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和56年4月から61年9月までに65例の喀血症例を経験した. その年齢分布は19歳から83歳までに及び, 平均59.8歳であった. 原因疾患としては, 気管支拡張症25例, 肺結核22例, 肺癌5例であった. 治療法としては, 31例に対症療法(抗結核剤投与11例, その他20例), 7例に気管支動脈塞栓術(BAE), 20例に開胸術(肺切除術18例, 気管支動脈結紮切除術2例)を行った. 各々の治療法別の再発率は, 13例(41.9%), 3例(42.9%), 2例(10%)で, 開胸例の再発率が最も低かった. 他の7例は全身状態が不良で積極的な治療は行われなかった. 気管支動脈塞栓術は手技が簡単で, 喀血の緊急時の処置としては優れた方法であるが, 栓塞した血管の再開通によると思われる再発率が高く, 時には脊髄動脈の閉塞や下半身麻痺を来すことがある. 一方, 低肺機能のために肺切除など侵襲の過大な処置に耐えられない患者も多い. このような症例に対してわれわれは気管支動脈結紮切除術を考案し, 2例に施行したところ, 術後の合併症はなく, また施行3年後の現在も再発を認めない. よって, 気管支動脈造影上脊髄動脈の存在が疑われる症例や, 肺切除に耐えられない者に対してこの手技はよい治療法の1つと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 喀血, 気管支動脈結紮術, 開胸術, 気管支動脈塞栓術, 気管支鏡
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