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症例は心拡大と運動時のチアノーゼを呈した6歳の男児で, 肺動脈弁狭窄を合併した完全型ECDの診断で根治手術を行った. 術中所見ではundivided typeの共通前尖を有するいわゆるRastelli C型で, 心房中隔と冠静脈洞は心室中隔より左方に位置していた. 手術はまずdouble patch法による欠損孔の閉鎖, 肺動脈弁切開, 右室流出路パッチ拡大を行ったが, 術中に判明した右側房室弁口狭窄により著明な右房圧の上昇とチアノーゼを来したためGlenn手術を追加することにより救命しえた. 本症例のごとく一側房室弁狭窄を合併するECDはまれで手術成績も不良とされており, 著者らの知る限りではまだ根治手術成功例の報告はない. またECDではまれに心房中隔が心室中隔の左方に偏位する例があることから, チアノーゼを呈する症例ではこのような形態異常にも留意すべきである. 心内膜床欠損症(ECD)は房室弁口周囲の多彩な形態異常を有する疾患であるが, 一側房室弁狭窄を合併する例の報告は少なく死亡率も高いとされている1)～5). 著者らは最近, 右側房室弁口(RAVO)狭窄と肺動脈弁狭窄(PS)を合併した完全型ECDの1手術治験例を経験したので報告する. |
