アブストラクト(36巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高度の右内頸動脈狭窄を合併した重症虚血性心疾患症例に対する一期的手術の1例
Subtitle : 症例
Authors : 末広茂文, 清水幸宏, 小浜正博, 八百英樹, 寺下一弥
Authors(kana) :
Organization : 関西労災病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 8
Page : 1379-1383
Year/Month : 1988 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 糖尿病を有する52歳男性で, 術前の冠動脈造影で右冠状動脈, 左冠動脈前下行枝に完全閉塞を, 左回旋枝にも高度の狭窄を認め, 左室駆出率(EF)は0.28と低下していた. 右内頸動脈の分岐直後に90%の狭窄を認め, 右眼底には糖尿病性網膜症に加え内頸動脈の血流低下による虚血性変化を認めた. 手術はIABP使用下に, まず頸部を切開し内シャントを用い右内頸動脈のパッチ拡大を施行, 次いで体外循環, 心停止下に3枝バイパス術を行った. 術後経過は良好で, 術後検査にてグラフトはすべて良好に開存し, EFは0.59と著明に改善していた. 右頸動脈の狭窄は消失し, 眼底所見でも虚血性変化の改善をみた. 本症例のごとき重症冠動脈病変と高度の頸動脈狭窄合併例においては, いずれに対する手術を優先してもそれに伴う危険性は極めて高く, 一期的手術により良好な結果が得られた. 頭蓋外頸動脈狭窄と冠動脈病変の合併例に対する手術治療については, 欧米では比較的多数例の報告がみられ, 手術適応, 治療方針などについて種々議論されている1)~9).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 頭蓋外頸動脈狭窄, 虚血性心疾患, 冠動脈バイパス, 頸動脈パッチ拡大, 同時手術
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