Abstract : |
A-C Bypass術後1年半後に労作性呼吸困難, 浮腫などの内科治療に抗する心不全症状を呈した66歳男性の限局性心タンポナーデに対し, 外科治療を行い良好な結果を得た. 心臓カテーテル検査ではbypass graftは良好に開存しており, 心内圧曲線にても明らかな異常は認められなかったが, 超音波検査にて左心室外側にecho free spaceを認めた. CT scanningでは左心室側壁から横隔膜面にかけてCT値+50の高値を示す限局性のpericardial effusionが描出された. 左前側壁開胸を施行し, 心膜と心外膜により形成されるcapsule内に存在する血液及び血腫を認め, 心膜をも含めてこれを除去した. 術後経過は順調で血腫は完全に消失した. 限局性の遅発性心タンポナーデは非常にまれな疾患であり, その診断, 外科治療の方針決定に対してCT scanningは非常に有用であった. 開心術後心タンポナーデは全身倦怠感, 食思不振, 発汗などの臨床症状を呈するために, 診断が困難であり, 一度診断を誤まると重篤な結果を招来するので, 的確な診断と手術の必要性が強調されてきた1)~5). |