アブストラクト(36巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左肺全摘除術に合併した食道瘻による膿胸の1治験例 ―大網を用いた一期的根治術―
Subtitle : 症例
Authors : 浅岡峰雄, 今泉宗久, 梶田正文, 内田達男, 新美隆男, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 8
Page : 1417-1421
Year/Month : 1988 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道瘻は肺全摘除後のまれな合併症である. その治療には膿胸のドレナージ, 栄養管理(経管, 経静脈)及び外科的修復が必要である. これまで, 瘻孔の縫合部の補強のために胸膜フラップや有茎筋肉弁が用いられてきた. われわれは有茎大網を用いて縫合部の補強とすると同時に膿胸腔を充填した. 患者は67歳の男性. 肺扁平上皮癌のため左肺全摘除術を行ったが術後13日目に食道瘻による膿胸となった. 約3ヵ月間保存的に治療し, その間に食道鏡を用いてフィブリン糊で瘻孔の閉鎖を試みたが成功しなかった. 外科的に瘻孔を修復し大網で補強し, 同時に膿胸腔を大網で充填したところ良好な経過をたどった. 肺癌手術に際しての食道損傷はまれな合併症である1)2). 縦隔リンパ節郭清や腫瘍の食道への癒着あるいは浸潤に対する操作中におこりうる可能性はあり, また, これまで以上に拡大手術が盛んに行われれば食道合併切除部の縫合不全もおこりうると考えられる. 特に一側肺全摘除術に合併すれば縦隔洞炎や膿胸となり治療に難渋するであろう3).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺全摘除術後食道瘻, 膿胸, 有茎大網
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