Abstract : |
多脾症候群を伴う複雑心奇形に対して, Rastelli手術を施行した. 症例は8歳の女児で, 主な合併心血管奇形は, 右胸心, 心室中隔欠損及び肺動脈狭窄を伴うA(I)LL型完全大血管転位, 下大静脈欠損及び半奇静脈連絡で, 生後4ヵ月時に右Blalock-Taussig手術が施行されている. 本症例では, 三尖弁腱索の一部が, 漏斗部中隔に付着し, 心室中隔欠損から大動脈への心室内パッチと交叉する位置にあったため, その腱索及び乳頭筋を周辺の漏斗部中隔及びventriculoinfundibular fold(VIF)と一塊に遊離し, 心室内導管に再縫着する方法を用いて, Rastelli手術を施行した. そこで, 本術式及びその問題点を検討し, 報告する. 心室中隔欠損(VSD), 肺動脈狭窄を伴う完全大血管転位症(TGA), いわゆるTGA-III型に対しては, 一般的にRastelli手術1)が施行され, 安定した手術成績が得られている2). しかしTGAの中には, 三尖弁腱索の付着異常を合併し, VSDから大動脈へのrootと交叉するため, Rastelli手術が困難となる症例がある3)~6). |