Abstract : |
1974年から1983年の10年間に当施設にて手術を行った乳児期以降の大動脈縮窄症(以下CoAと略す)25例を対象として, 手術術式とその成績及び遠隔予後などについて臨床的検討を行った. 手術時年齢は5歳から51歳で, 平均15.1歳, 11例(44%)が合併心疾患を有していた. 狭窄部の形態はjux-taductal typeが18例, postductal typeが4例, atypical typeが3例で, 縮窄部前後の圧差は30~100mmHg, 平均52.7±16.9mmHg, 近位部の収縮期圧は110~198mmHg, 平均154.0±21.0mmHgであった. 手術術式はpatch grafting 17例, long bypass grafting 5例, 端々吻合・graft interposition・graft interposition及びlong bypass graftingを各1例に行った. 早期死亡はなく1例に30mmHgの圧差が残存したが(端々吻合例), その他の症例では残存圧差はみられなかった. 遠隔死亡は後続手術として行った大動脈弁置換術時に死亡した1例があった. 術後2カ月から8年5カ月, 平均3年10カ月の遠隔期の評価でも1例を除いて上下肢圧差を認めず, 高血圧症も術前92%から21%に減少していた. これらの経験からpatch graftingは小児例や縮窄部の短い種々の形に適応でき, 現在のところ遠隔期にも問題がないと考えられた. また, long bypass graftingは成人例や縮窄部の長い非典型例に対して有効と考えられた. |