アブストラクト(36巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 末梢血管疾患症例の冠動脈病変及び左心機能の評価
Subtitle : 原著
Authors : 尾碕俊造, 根岸七雄, 萩原秀男, 石井良幸, 篠原裕希, 鈴木克行, 河野秀雄, 渡井健男, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 9
Page : 1962-1966
Year/Month : 1988 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 血管外科疾患を取り扱うに当たり, 動脈硬化症や血管炎など全身系統的疾患の存在は重要な意義を持つ. 特に重大な危険因子となりうる冠動脈病変や左心機能を把握することは外科的管理を行うに当たり, 極めて重要である. 今回教室で経験した閉塞性動脈硬化症(ASO)74例, 腹部大動脈瘤(AAA)27例, 閉塞性血栓血管炎(TAO)14例を対象として, 左右心カテーテル検査, 冠動脈造影を行い, 冠状動脈の狭窄性病変の有無, 心係数(C.I.), 左室終末拡張期圧(LVEDP), 左室駆出率(E.F.)を評価した. ASO例は機能的重症度により跛行期(II度)安静時疼痛期(III度)壊疽期(IV度)に分類し, 更に跛行期を跛行距離により, 500m以上のIIa, それ以下のIIbに分け, 4つの群で検討を行った. 更にこれらの結果と心電図上の虚血性変化の存在とも比較を行った. 結果としてはASO例の62.1%, AAA例の40%に冠状動脈の75%以上の有意狭窄性病変を認めた. AAA例には特有な冠動脈変化(冠動脈瘤1例, 冠動脈拡張症6例, 著明な屈曲蛇行4例)を一部の症例に認めた, 心係数, 左室終末拡張期圧, 左室駆出率はASO例, AAA例ともに比較的正常に保たれている. そしてASO例で機能的重症度と左心機能とは一定の傾向は認めなかった. TAO例では冠動脈病変は認めず, 左心機能も全く正常範囲であった. 心電図上異常を認めず, また臨床症状も伴わないが, 冠動脈造影上有意狭窄性病変をASO例の17%, AAA例の11%を認めた. このことは運動負荷心電図の不可能なことの多いASO例については注目すべき事実である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 閉塞性動脈硬化症, 閉塞性血栓血管炎, 腹部大動脈瘤, 冠動脈病変, 左心機能
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