アブストラクト(36巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管支拡張症の外科治療成績-術後残存拡張気管支が遠隔予後に与える影響について-
Subtitle : 原著
Authors : 大野喜代志, 中原数也, 橋本純平, 三好新一郎, 前田元, 松村晃秀, 梁徳淳, 水田隆俊, 明石章則, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 9
Page : 2016-2019
Year/Month : 1988 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 気管支拡張症術後の拡張気管支の残存が遠隔成績に及ぼす影響について検討した. 昭和31年から60年までの30年間に当科で手術を施行した55例中, 遠隔予後の明らかな43例を対象とした. 拡張気管支を完全に切除し得た群(完全切除群, n=30), 拡張気管支が1区域支のみ遺残した群(1区域支残存群, n=6)及び2区域支以上遺残した群(2区域支以上残存群, n=7)に分類した. 術後経過観察期間は1年から31年平均19年であった. 完全切除群では, 膿痰, 血痰, 慢性咳及び1日の喀痰量が5cc以上である頻度は, 術後有意(p<0.01, p<0.01, p<0.01, p<0.01)に低下した. 1区域支残存群では, 手術により, 膿痰と血痰の出現率は有意(p<0.01, p<0.05)に低下し, 完全切除群と比べて術後, 有意差は認められなかった. 一方, 慢性咳と1日の喀痰量が5cc以上である頻度は, 手術により有意に変化せず, 術後, 完全切除群よりも有意(p<0.01, p<0.01)に高値を示した. 2区域支以上残存群では, これら4症状は, 手術により有意に低下せず, 完全切除群よりも術後, 有意(p<0.01, p<0.01, p<0.01, p<0.01)に高値を示した. 以上から, 本症の術後遠隔成績を向上させるためには, 拡張気管支を完全に切除することが望ましい. また, 術後拡張気管支が2区域支以上残存する症例では, 症状の改善は期待し得ないことが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管支拡張症, 外科治療成績, 術後残存拡張気管支
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