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三尖弁閉鎖症に対する右心房－肺動脈吻合術（m-Fontan手術）後早期の血行動態の予測を試みた. 対象は手術に成功した8例である. 手術時年齢は2.0～5.0歳（平均3.7歳）で, 7例にBlalock-Taussig shunt術が, 1例にWaterston shunt術が施行されていた. 術前カテーテル検査時の肺・体血流比（Qp/Qs）の大小により対象を, I群（Qp/Qs＜1.0）3例, II群（1.0≦Qp/Qs＜2.0）3例, III群（2.0≦Qp/Qs）2例の3つの群に分け, 術前の肺動脈径, 平均肺動脈圧（mPAP）, 平均左房圧（mLAP）, 肺・体血管抵抗比（Rp/Rs）, 正常に対する左室拡張終末期容積比（LVEDV%normal）を検討し, ICU入室後12時間の平均中心静脈圧（CVP）の予測式を作成した. 肺動脈径は正常に対する左右肺動脈の平均断面積比（mPAA/N-rtPAA）で検討すると, m-Fontan手術前では（全例shunt術後）, 全例40%以上であった. 術後のCVP-mLAP（y）と術前のRp/Rs（x）との間には, y＝5.08＋49.84x, r＝0.94（p＜0.01）の相関関係があり, その関係式をA式とした. 術後のmLAP（y）と術前のLVEDV%normal（x）との間にはy＝－1.31＋1.66×10-2x, r＝0.82（p＜0.01）の相関関係があり, その関係式をB式とした. A, B両式により算出した術後の予測CVP（x）と実際のCVP（y）とはy＝0.13＋0.91x, r＝0.90（p＜0.01）を示し, ほぼ原点を通り1対1に対応する良い相関関係にあった. 以上の成績より, 肺動脈径に関してはmPAA/N-rtPAAが40%あれば術後早期の血行動態への影響は少なく, 安全に手術を施行し得る. A, B両者式は本術式における術後早期の血行動態を予測し得るもので手術適応を考える上にも, また術後管理においても有用であると考える. |
