Abstract : |
血液凝固第XIII因子(FXIII)を含めた凝固・線溶系の因子の開心術術中・術後の動きについて検討した. 体外循環下開心術症例19例を対象とし, 術前から術後14日目まで経時的に血液を採取し, FXIII, APTT, PT, 凝固・線溶系の諸因子, 血小板数, フィブロネクチン(FN)値を測定した. FXIII, 凝固・線溶系の因子, 血小板数, FNは主として希釈の影響によって, 体外循環中は術前値に比し, 有意に低下した(p<0.01). FXIIIは術前値107.4±24.8%から, 体外循環中に63.5±18.6%に低下し, その後, 術後2日目にかけて上昇傾向を示すのであるが, 術後7日目には79.9%と2日目と比較しても再度有意な低下を示した(p<0.05). このFXIIIの推移は, FXIIIの基質の1つであり, 組織修復に重要な役割を果たしているFNの推移と正の相関(r=0.84)を示すことから, 術後7日目におけるFXIIIの低下が, 創傷治癒機転に関与していると思われた. FXIII, FNの創部組織修復における役割は, そのまま各臓器での組織修復に関与する可能性も考え合わせると, 今後は重症例, 長時間体外循環症例などにおける検討が必要と考えられる. |