アブストラクト(36巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 拍動流体外循環の血管抵抗に及ぼす影響-イヌ後肢を用いた灌流実験-
Subtitle : 原著
Authors : 相馬彰
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 9
Page : 2058-2067
Year/Month : 1988 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 拍動流に関する実験はこれまで数多く報告されている. これらの報告の多くは, 拍動が血管のインピーダンスもしくは抵抗を減少させるとしている. しかし, その減少程度を数量化した報告は見あたらない. そこで著者は今回拍動流の血管抵抗減少効果を数量化することを目的に, イヌ後肢の灌流実験を行った. 拍動流の定量化には, 波形の積分平均である分時平均流量と, Fourier変換して得られるPulse Power Index(PPI, 1985, Grossi et al. )の2つの変数を用い, 血管抵抗との関係式を求めて行った. PPIはいわゆる定常流のときに0となり, 拍動の程度が大きくなるほど大きな値をとる無名数である. 得られた関係式によると, PPIを一定としたときの分時平均流量と血管抵抗との間には, 双曲線様の関係が認められ, 両者の積である血圧を一定に保つように変化した. 一方, 分時平均流量を一定としたときのPPIと血管抵抗との間には, ほぼ一次の負の相関関係があった. 血管抵抗に与えるPPIの影響は, 分時平均流量によるそれに比して一桁小さい. また生体の心臓が, もし定常流(PPI=0)でポンプ作用を行ったとすると, その際の血管抵抗は通常の拍動流の際に比較して約25%増大することとなる. また, 人工臓器の拍動が生体の心臓と同程度の血管抵抗減少を得ようとするなら, 通常の流量域では, PPI>1300を要する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 拍動流, 定量化, 血管抵抗, Fourier変換
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