アブストラクト(36巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 同種肋骨移植による胸壁再建術
Subtitle : 原著
Authors : 近藤大造, 呉屋朝幸, 土屋了介, 藤原康弘, 小池薫, 西沢延宏, 二見哲夫, 成毛韶夫, 米山武志, 末舛恵一
Authors(kana) :
Organization : 国立がんセンター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 9
Page : 2073-2078
Year/Month : 1988 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 前側胸壁骨性胸郭の広範囲切除に対し, 術後の奇異呼吸を予防する目的で1987年3月までに, 同種肋骨移植による胸壁再建術を5例経験した. 対象は男性3名, 女性2名, 年齢は25~75歳(平均45.6歳)であり, 再発悪性線維性組織球腫, 再発乳癌, 再発胸腺腫, 原発性肺癌, 再発横紋筋肉腫各1例である. 使用した同種肋骨は, 肺癌の定型的手術で切除された第5肋骨を無菌的に-20℃に冷凍保存したもので, 手術前日に1%滅菌ヒビテン液に12時間つけ解凍し, カナマイシン3g/生食500mlに入れて洗浄, 骨膜を剥離,脱髄処理をして用いた. 結果は, 術直後の生理的呼吸運動の保持という目的に対し, 1例のみ極めて軽度の奇異呼吸のため補助呼吸を手術当夜に限り必要としたが, 全体としてほぼ満足し得る結果を得た. 移植骨の感染, 拒絶反応は皆無であった. 長期的に, 1)移植骨骨折, 2)再建胸郭の変形によると思われる第5胸椎圧迫骨折, 3)移植骨固定部の離解を経験し技術的改善の余地はあるが, 臨床的には問題はないと思われる. 同種骨移植は, 欧米では死体骨を利用し頻回に施行されているが, 日本では移植骨供給という難点がある. 従ってその難点が解決されれば, 同種肋骨移植による胸壁再建術は手技的にも容易であり, 有用な術式と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 同種肋骨移植, 広範囲胸壁切除, 胸壁再建術
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