アブストラクト(36巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心室同期パルセーション(LVCOP)法の機械的特性と犬虚血心モデルに及ぼす循環補助と心機能改善効果に関する実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 古川斎, 奥井勝二
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 9
Page : 2079-2089
Year/Month : 1988 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新しい簡便な左心補助循環法である心室同期パルセーション(以下LVCOP)法の機械的特性をmock回路を作製して調べ, 更に犬虚血心モデルにおける循環補助効果をIABPと比較検討した. mock回路を用いた実験では, LVCOPにより最大流量2.7l/minを得たが, 駆動数が増すにつれて補助量はほぼ直線的に漸減した. カニューレ外径28F以上, 長さ15cm以下, 駆動数100回/分以下ならば, 後負荷60mmHgで, 約2l/minの補助量が得られることがわかった. 犬虚血心モデルは, 左室前壁全層を多結紮し, インデラールを微量持続点滴(0.2μg/kg/min)して作製した. LVCOP単独では, 虚血モデルに比べて平均大動脈流量は29.2%(p<0.01)の増加, 大動脈平均圧は20.3%(p<0.01)上昇し, IABPに匹適する循環維持効果があった. LVCOPとIABPを併用すると虚血モデルに比べ平均大動脈流量は39.8%増加, 大動脈平均圧は31.3%上昇し, 循環維持効果は更に増強された. LVCOPによって左室平均圧, 心筋酸素消費量には有意の増加は認められなかったが, 左室負荷軽減効果のあることは確認されなかった. 心尖部カニューレによる左室内腔の損傷はなく, 挿入はたやすく抗不整脈剤を使用する必要はなかった. LVCOPの臨床使用にあたっては, 血流の逆転に起因する溶血, 抗血栓性の問題と長時間使用した際の影響につき, 更に検討を要すると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左心補助循環, LVCOP, IABP, Pulsatile Bypass Pump(PBP), mock回路
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