アブストラクト(36巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体肺動脈短絡術の至適短絡量の検討-特にファロー四徴症について-
Subtitle : 原著
Authors : 川田博昭*, 内藤泰顕**, 八木原俊克, 磯部文隆, 山本文雄, 夜久均, 北川哲也, 藤田毅, 曲直部寿夫
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科, *大阪大学医学部第1外科, **和歌山県立医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 9
Page : 2097-2105
Year/Month : 1988 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1978年より1985年5月までに当施設にて行ったファロー四徴症に対する体肺動脈短絡術について, 至適短絡量の検討を行ったので報告する. 全手術症例80例(95件)のうち, 共通房室弁口の合併例を除き, 閉胸直前の血行動態の安定期に電磁流量計にて短絡量を測定しえた55例(59件)を対象とした. 術式はBlalock-Taussig(BT)術16件, interposed BT術15件, modified BT術21件, central shunt術7件であった. 用いた人工血管は, 径4~7mmのEPTFE(Expanded polytetrafluoroethylene), 又はGolaski knitted Dacron製であった. 手術死亡5例, 病院死亡2例, 遠隔死亡5例であったが, 短絡量不足による死亡例はなかった. シャントの閉塞は遠隔期の1例のみであった. 至適短絡量を, 次回手術時には根治手術可能となる十分な流量で, 且つ過大流量に起因する心不全を起こさない血流量と定義した. 次回手術も姑息手術が必要であった症例群の, 短絡量の95%信頼限界の上限にほぼ等しく, 根治手術可能例の平均短絡量であった, 95ml/min/kgを, 至適短絡量の下限とした. 過大短絡量に起因すると思われた心不全を発症したのは, 短絡量が, 130, 175ml/min/kgの2例であったことより, 130ml/min/kgをその上限とした. modified BT術の場合には, 短絡量と人工血管, 肺動脈, 鎖骨下動脈の三者間の最細部直径との間に, r=0.885の良好な相関を有する一次回帰式が存在する. この回帰式により, 短絡量〔ml/min〕=560×最細部径〔mm〕-1,500により短絡量を推測でき, 適切な直径の人工血管を選択することが可能である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体肺動脈短絡術, ファロー四徴症, 至適短絡量, modified Blalock-Taussig術
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