アブストラクト(36巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環中及び後における心房性ナトリウム利尿ホルモンの動態
Subtitle : 原著
Authors : 西村和修, 藤原康典, 松本雅彦, 曽根田純一, 小西裕, 岡本好史, 伴敏彦
Authors(kana) :
Organization : 京都大学医学部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 10
Page : 2213-2220
Year/Month : 1988 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環前, 中, 及び後にわたってAtrial Natriuretic Polypeptide(ANP)の血中濃度を測定し, 併せてレニン・アルドステロン系の推移と体液バランス, 血行動態との関連を検討した. 虚血性心疾患(IHD)5例, 弁膜疾患(VHD)6例, 心房中隔欠損症(ASD)3例の計14例を対象とした. ANP濃度の推移に関して以下の結果を得た. 1.各群の術前ANP濃度はIHD 83±46pg/ml, VHD 219±90pg/ml, ASD 84±22pg/mlでVHD群が他の2群に比べ高かった(p<0.05). 2.麻酔導入後全例で有意に低下した(p<0.01). 3. 体外循環中はIHD, VHD群では開始後30~60分で検出感度以下(40pg/ml)に低下してそのまま低値を持続し, 大動脈遮断解除後の1ポイントでのみ高値を示した. ASD群では体外循環中比較的高値を持続した. 4.術後はIHD, VHD群ではやや低めで推移し15~24時間後に麻酔導入前値に復し, 2~4日後にピークとなった. ASD群では術後ずっと低値のままであった. アルドステロンは体外循環中に上昇し, 手術終了後に漸減して2日後に前値に復した. 尿量, ナトリウム排泄についてみると, 体外循環中はANP濃度との関連は認められなかったものの, 術後15時間から2日にかけて限ってみるとANPの推移と一致した. 以上よりANPは心房への手術侵襲や心筋虚血によりその分泌動態が大きく変化することが明らかとなった. また術後の体液バランス調節に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Atrial Natriuretic Polypeptide(ANP), Renin-Aldosteron, 体外循環, 大動脈遮断, 心筋保護液
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