Abstract : |
25例の肺癌肺剔除例(右側11例, 左側14例)で術前の肺機能検査及び肺血流シンチグラムより術後の予測値を求め, 術後の実測値と比較した結果, 予測値と実測値との間には肺活量(FVC)でr=0.78, 1秒量(FEV1.0)でr=0.88, 全肺気量(TLC)でr=0.80と高い相関がみられ, 肺血量流シンチグラムを用いた予測値は術後実測値とよく一致すると思われた. しかし25例中14例(56.0%)でFVC, FEV1.0の両方, 又はいずれかに予測値と実測値との間に10%以上の誤差を生ずる不一致がみられ, このうちの9例では誤差は20%以上あった. FVCの不一致例は12例で, そのうちの10例では予測値が高く, これには術後の残気量(RV)の予測以上の増加が関与しているように思われた. FEV1.0の不一致例は9例で, 術前の肺換気・血流分布の不均衡が原因と思われるが, かかる誤差を生じ得ることを示唆する術前所見として, 1.胸部X線像で患側肺に2葉以上にわたる無気肺所見または気管支鏡あるいは胸部X線断層像で主気管支または2葉以上の気管支に閉塞ないし高度狭窄をみる. 2.肺血流シンチグラムからの残存肺比が75%以上の高値を示す. 3.術前肺機能検査値で%VC 70以下, %FEV1.0 70以下, FVC 2.0l以下, FEV1.0 1.5l以下, 指数50以下などの低肺機能状態が認められた. 従って, このような例では, 予測値ことにFEV1.0の予測値の決定には慎重な配慮を加える必要があると思われる. |