アブストラクト(36巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環における赤血球変形能の推移及びProstaglandin E1剤投与の検討
Subtitle : 原著
Authors : 山口寛, 清水隆, 長田鉄也, 土田博光, 本保秀三, 長江恒幸, 平山哲三, 北村昌之, 石丸新, 古川欽一
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 10
Page : 2233-2237
Year/Month : 1988 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 赤血球の変形能は末梢の微小循環を良好に保つために極めて重要な意味を持つことは良く知られている. 今回, われわれは体外循環下に開心術を行った46症例の赤血球変形能を測定した. 変形能はpore size 5μmのfilterを用い, 20%Htの赤血球浮遊液を作製し, Red cell filtration rate(RFR:μl/sec)を計算し, 赤血球変形能の値とした. また, 46例中, 17例にPGE1 20ng/kg/minをCPB開始時より人工心肺中に持続投与し, 非投与対照群29例と比較検討した. 対照群の赤血球変形能は経時的に低下し, CPB開始前38.8μl/secであったRFRは30分値で33.5μl/sec, 60分値で27.4μl/sec, 90分値で24.8μl/sec, 120分値は16.0μl/sec(CPB前値の41.2%)と赤血球変形能は経時的に低下し, 30分でp<0.01, 60分以降はp<0.001と有意差を得た. PGE1投与群17例では, CPB前38.2μl/secであったRFRは, 30分値は39.9μl/sec, 60分値は38.8μl/sec, 90分値では38.4μl/sec, 120分値で33.2μl/secと90分値までの赤血球変形能はCPB前値よりむしろ良好であり, 最も低下した120分値でもCPB前値の86.8%にとどまっており, CPB前値との間に有意差を認めなかった. PGE1のCPB中の投与は赤血球の変形能を良好に保ち, 微小循環に良い影響を与えるものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 赤血球変形能, Prostaglandin E1, 体外循環, 微小循環
このページの一番上へ