アブストラクト(36巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治術後遠隔期の右室機能に関する研究-右室局所収縮機能よりみた手術々式の検討-
Subtitle : 原著
Authors : 三浦拓也, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 10
Page : 2238-2247
Year/Month : 1988 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ファロー四徴症(TF)の根治手術においては, 右室切開をはじめとする直接的, 且つ局所的な手術侵襲が右室に加わり, これが術後右室機能低下の大きな要因と考えられる. そこで, 本症根治手術後症例62例の右室壁運動の定量的評価を心血管造影法により行い, 右室局所収縮機能の面より右室ポンプ機能と手術々式との関連につき検討した. 右室局所収縮機能は造影側面像にhemiaxis法を応用して右室自由壁の上下三部分の面積変化率(FAC)により評価し, 右室ポンプ機能は右室駆出率(RVEF)により評価した. 手術々式は右室切開とパッチ縫着法により五群(右室非切開, 右室弁輪部小切開+小パッチ, 右室切開直接閉鎖, 右室切開+弁輪下パッチ, 右室切開+弁輪部パッチ)に分類し, 各群のFAC, RVEFを比較検討した. また, このうち31例にイソプロテレノール負荷を行って同様の検討を行い, 以下の結論を得た. 1.右室弁輪部小切開+小パッチ群においては, 弁輪下に相当する上部局所FACの低下が認められたが, 残る部分の局所FAC及びRVEFは右室非切開群と同等に保たれた. 2.右室切開群においてはパッチ使用とは無関係に, 三部分すべての局所FACの低下が認められ, 且つRVEFの低下も認められた. 3.イソプロテレノール負荷に対し, 右室非切開あるいは弁輪部小切開による術式では上部を除く他の部分の局所FACの上昇があり, 且つRVEFの上昇も認められた. 一方, 右室切開群では局所FACの上昇は下部に限られ, RVEFの上昇は認められなかった. 4.以上より, 右室非切開あるいは弁輪部小切開にとどめた現在のTF根治術式においては, 術後右室自由壁の局所収縮機能がよく保たれ, これが右室ポンプ機能の温存に寄与していることが明らかにされた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 右室機能, 局所壁運動, 右室切開, イソプロテレノール負荷
このページの一番上へ