アブストラクト(36巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 両側内胸動脈による冠動脈バイパス術
Subtitle : 原著
Authors : 織田禎二, 宮本忠臣, 坂田隆造*, 白石義定, 平田和男**, 武内俊史, 樋口訓久*, 朴昌禧, 新蔵信彦
Authors(kana) :
Organization : 小倉記念病院心臓血管外科, *熊本中央病院心臓血管外科, **京都大学心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 10
Page : 2276-2283
Year/Month : 1988 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去1年6カ月間に両側内胸動脈グラフト(IMAG)による冠動脈バイパス術を44例に施行した. 年齢は19~68歳(平均53.9±10.2)で男性が84%を占めた. 診断はLMTD(48%), 3VD(45%)が多く, OMIは59%に認めた. 両側IMAGの適応に関し初期は多くの制限を設けていたが現在は, (1)鎖骨下動脈中枢部狭窄, (2)大動脈弓部瘤, (3)緊急手術例, (4)IMA自体に病変のある場合のみを禁忌としている. 両側IMAGでバイパスする冠動脈は, (1)IMAGが到達可能であること, (2)再手術の困難な冠動脈(CX)を優先すること, (3)viableな心筋領域を優先すること, (4)IMAG径と冠動脈径をmatchさせることなどの観点より選択した. 両側IMAGで平均2.1カ所のバイパスを行った(同時にSVGにて1.5カ所のバイパスも施行)が, その内訳は, lt.IMAGにてLAD 33本, Diag 12本, CX 7本, rt.IMAGにてLAD 5本, Diag 3本, CX 39本であった. rt.IMAGは36例(82%)で, transverse sinusを通してCXへ吻合可能であった. IMAGによるsequential bypassは9例(20%)に施行した. 術後早期開存率はLAD 92%, CX 85%, sequential bypass 94%と良好であった. 術後トレッドミル, 負荷心筋シンチを施行したがIMAGの流量は十分と思われた. 術後合併症は前縦隔洞炎9%, 術後出血7%, LOS2%, でIABPは9%, 死亡率は7%であった. 同時期に施行したSVG例と比較してCXの開存率のみIMAGがやや優位であった他は開存率及び合併症に差はなかった. 本法はその適応を拡大しほぼルーチンに行っても, surgical riskを増加させずに良好な成績を得ることができると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠動脈バイパス手術, 両側内胸動脈グラフト, 手術適応, 心膜横洞
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