Abstract : |
動脈炎に対する薬物療法としてはステロイド治療が一般的であり, 血液生化学的検査や理学的所見などを指標としてその有効性が論じられている. 最近われわれは, 巨細胞性動脈炎に起因する大動脈弁閉鎖不全症の診断で大動脈弁置換術を施行し, 術直後からステロイドを投与している39歳女性症例の血栓弁に対して, 再手術を施行した. 再手術の際には, 初回手術時に浸出液で覆われ拡張していた上行大動脈径の正常化を認めた. 更に, 病理組織検査で大動脈壁の炎症所見の消失を確認した. 巨細胞性大動脈炎に対してステロイド治療が奏効したことを, 大動脈壁自体の所見を基に確認し得た貴重な症例と考えられるので, 若干の文献的考察を加えて報告した. 大動脈炎に対してはステロイド治療が有効であるとされ, その有効性の多くは血液検査や臨床症状を指標として論じられているが, 大動脈自体の所見について炎症の極期と鎮静化した時点とを比較して述べた報告は認めない. 最近われわれは, 巨細胞性動脈炎に起因する大動脈弁閉鎖不全症(AR)の診断で, 大動脈弁置換術(AVR)を施行し術後からステロイドを投与している症例が血栓弁を発症したために再手術を行った. |