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胸壁全層切除は骨性胸壁及び皮膚軟部組織の再建法に関し問題がある. そこで, 扁平上皮癌, 胸壁原発悪性線維性組織球腫, 乳癌局所再発, 非特異性肋軟骨炎, 放射線潰瘍の計6例の胸壁全層切除再建術症例につきその成績をまとめ, 骨性胸壁のみを再建した13例の成績と比較して検討した. 骨性胸壁は全例再建し, 1例はpolyethylene製Marlex meshのみを, 3例はpolyethylene製Marlex meshとbone cementによるsandwichを, 2例はpolypropylene製Marlex meshとbone cementによるsandwichを用いた. 皮膚軟部組織の再建には周囲皮膚を受動して閉じたもの2例, 患側広背筋皮弁3例, 対側腹直筋下腹壁筋皮弁1例である. 1例では筋皮弁下に有茎大網弁を挿入した. 全例共術後奇異呼吸は無く, 呼吸補助操作は必要なかった. 放射線照射2例と腹直筋皮弁の1例で2次性潰瘍を形成した. 以上より, 胸壁全層切除術の適応は, 原発性胸壁疾患で根治的, 再発癌で限定的であること, 骨性胸壁の再建はpolypropylene製Marlex meshとbone cementによるsandwich法が有用であること, 皮膚軟部組織の再建は広背筋皮弁が一般的であるが, 広範な欠損では切除範囲, 前回手術での血行遮断などに考慮を払う心要があることを指摘した. |
