アブストラクト(36巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心筋虚血領域に対する補助人工心臓の効果-特に心外膜マッピング心電図, 心筋局所血流量からの検討-
Subtitle : 原著
Authors : 山本知則, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 11
Page : 2363-2371
Year/Month : 1988 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 虚血性心疾患に対し, 補助循環を使用する機会は近年増加しているが, LVAD(left ventricular assist device)の心筋虚血に対する影響は, 十分解明されたとは言えない. 今回著者らは, ブタの急性心筋梗塞モデルを用い, 心筋虚血領域にLVADが及ぼす影響を評価した. 左前下行枝の結紮により心原性ショックに陥った心不全モデルの, 心外膜マッピング心電図を測定, 正常域, 境界域, 梗塞域の心筋領域を特定し, それぞれの領域の心筋局所血流量を水素クリアランス法により計測した. 同時に心外膜マッピング心電図によって得られたSTの変動により, 梗塞サイズをモニターした. LVADを駆動すると, 心筋局所血流量は, 正常域, 梗塞域では駆動前後の差は認められなかったが, 両者の間の境界領域では, 著明に上昇し, コントロール群に比し有意に増加した. 心外膜マッピング心電図では, 結紮により上昇したSTが, LVAD駆動により低下し, それに伴う梗塞領域の縮小化が見られた. また, 冠静脈洞血流量もコントロール群に比べて有意の増加を示した. 次に境界領域の心筋局所血流量と心内膜側の血流量の指標となるEVR(Endocardial viability ratio)の関係を検討すると, 両者は, Y=0.75X+21.49(r=0.8)と, 良い相関関係を示した. 以上より, LVADによる左心補助は, 急性心筋梗塞症において正常域と梗塞域の間の領域,いわゆるjeopardized areaの血流を増加し, 梗塞の縮小化を示すものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : LVAD, 虚血性心疾患, 心外膜マッピング心電図, 電解式水素クリアランス法
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