アブストラクト(36巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腎機能障害を伴う急性心筋梗塞における補助人工心臓の効果について
Subtitle : 原著
Authors : 栗原和直, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 11
Page : 2372-2379
Year/Month : 1988 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 補助人工心臓は, 本邦でも60例以上の臨床応用がされているが, いまだ長期生存例は少なく, 適応, 駆動方法, 離脱時期とその方法など, 数々の問題が残されており, 多くの症例が, 感染, 急性腎不全を始めとする多臓器不全で死亡している. そこでLVAD駆動時合併の多い腎不全に注目し, LVAD駆動時の腎血流量及び腎機能への影響について実験的に検討した. ブタを利用して左室梗塞に伴う急性左心不全を作成し, LVADを駆動し急性期での腎血流量, 腎機能を測定した. 梗塞作成により腎血流量, 特に腎皮質血流量が低下し, 腎髄質への血流再分布を認めた. これに対しLVADを駆動すると, 血流再分布が改善され皮質血流量の増加を認め, 糸球体への血流量の改善を示唆した. クレアチニンクリアランス(Ccr)は, 梗塞作成により低下したが, LVAD駆動により回復傾向を認めた. 自由水クリアランス(CH2O), ナトリウム排泄率(FENa), 尿中N-acetyl-β-glucosamidase(NAG)においては, 非治療群と有意差を認めなかったが, 尿中β2-microglobulin(β2MG)濃度は, 梗塞作成により増加し, LVAD駆動により低下した. 以上のことより, 急性左心不全に伴う心原性ショック時, LVADによる流量補助は腎不全防止のために効果的であることを確かめた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : LVAD, 腎血流量, 腎局所血流量, 腎機能
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