アブストラクト(36巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Glutarardehyde処理気管による人工食道の実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 島伸吾, 米川甫, 吉住豊, 杉浦芳章, 末吉晋, 後藤正幸, 田中勧
Authors(kana) :
Organization : 防衛医大第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 11
Page : 2417-2424
Year/Month : 1988 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 雑種成犬の頸部食道を3または5cm切除し, 0.2%のglutarardehydeで処理した犬の気管を移植し3日から6週間にわたり経日的に屠殺剖検して移植の状態を肉眼的および病理組織学的に検討した. 次いで胸部食道で同様の移植を行い出来るだけ生存させ死亡した時点で移植部の状態を検討した. 最長生存は170日であった. 吻合部の瘻孔の発生率は頸部では29%, 胸部では21%に認められた. 移植された気管は頸部では術後1週間後に, 胸部では1カ月後頃までに脱落していたことが確認された. しかしこの移植部は管状の腺維組織に置換され, その表面には食道の両断端から伸びてくる再生上皮が認められ2カ月後ではほぼ全長を覆っていた. 一方この時期には移植部の中央が瘢痕狭窄となり栄養障害をきたし死亡した. すなわちglutarardehydeで処理した生体組織である気管も他の人工物で作成された人工食道と同様に生着は困難であるが, 他の人工物よりは縫合不全の発生率は低く, 周囲に腺維組織管を形成させる面では有用と推測された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 人工食道, 気管利用した人工食道, glutarardehyde処理, 食道移植
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