Abstract : |
原発性肺癌78例を対象として肺シンチグラフィー及びブロンコスパイロメトリーによる左右別肺機能検査を行ない, 得られた換気量, 血流量の左右比の臨床的意義を検討し, 以下の成績が得られた. 1)術前のブロンコスパイロメトリーから得られた右肺活量の総合値に対する比は肺換気, 血流シンチグラフィーより得られた右肺の全体に対する比と高い相関を示した. (r=0.84, r=0.69). 2)肺全摘例の検討からブロンコスパイロメトリーによって得られた左右肺活量はその絶対値よりも左右比においてより意義が大きいと考えられた. 3)肺シンチグラフィーから得られた左右比に基づいて肺全摘術後肺活量を予測する場合, 換気シンチグラフィーにおける左右比を用いた方が血流シンチグラフィーを用いた場合よりも正確に予測できた(r=0.94). 4)Aliらの式1)に準じて肺葉切除術後の残存肺活量, 1秒量を予測する場合, 換気の左右比, 血流の左右比のいずれを用いても予測値と実測値の間には相関性(r=0.83~r=0.89)が示された. また術後6カ月の測定においても予測値の実測値の間には高い相関性が示され, 予測値は一層実測値に近づいた. 5)手術における術後の肺血流の減少は肺換気の減少に比して有意に著しかった. 従って術側の換気, 血流比は術後有意に上昇した(p<0.02). 以上のごとく肺切除術後の残存肺機能は肺シンチグラフィーによる左右比を用いて予測できるが患側の血流は術後健側にシフトするので, 健側の肺血管予備力を考慮することが必要である. |