Abstract : |
肺癌手術患者を対象とし, 腫瘍占居部位と縦隔リンパ節転移部位との関係, pN因子を中心とした腫瘍の進展度と遠隔成績との相関, 腫瘍内, 並びにリンパ節の免疫反応の, 主として遠隔成績への影響の有無などを検討した. 腫瘍の占居部位と縦隔リンパ節転移部位との関係では, 以下のような傾向を認めた. すなわち, 右肺癌では, 上葉からは#7への転移より#3, #1への転移が多いが, 中, 下葉からは#7への転移の方が多かった. 左肺癌では, 上葉からは#7への転移はなく, #5, #6への転移が多かった. 下葉からは#7への転移が#5, #6への転移よりも多かった. また, #8, #9への転移は下葉肺癌だけにみられ, #8の方が#9よりも転移率が高かった. 術中に, 肉眼的に, あるいは迅速標本でN2と判定された左肺癌15例に対して胸骨正中切開による縦隔リンパ節郭清を併施した結果では, 左から右への対側転移の頻度は20.0%であった. 遠隔成績の調査では, 非小細胞癌のpT1群で, pT1N0M0例とpT1N2M0例の間に有意差を認めたが, pT2群, pT3群ではpN因子での差はなかった. 組織型別では, 扁平上皮癌のpT各群ではpN因子での差は認められず, 腺癌ではpT1群で, pT1N0M0例とpT1N2M0例の間に有意差を認めたが, pT2群, pT3群ではpN因子での差はなかった. また, #7, 並びに, #1への転移の有無で, pN2症例の遠隔成績を比較したが有意差はなかった. 免疫反応と遠隔成績との関係においても統計学上の有意差を認めなかった. |