アブストラクト(36巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 壁応力と心筋保護効果から見た左室容量負荷型弁膜症の術後急性期左心機能動態
Subtitle : 原著
Authors : 倉岡節夫, 小林稔, 折田博之, 島貫隆夫, 河野道夫, 深沢学, 阿部寛政, 乾清重, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 12
Page : 2561-2565
Year/Month : 1988 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左室容量負荷型弁膜症の弁置換術後急性期左心機能動態に及ぼす術中心筋保護効果と壁応力を主とした術前左心機能の影響に関し検討した. 対象は, 術前両心カテーテル検査と心血管X線映画撮影が施行され, 術中70分以上の大動脈遮断中左室心筋温を連続モニターし, 術後経時的に心拍出量を測定した左室容量負荷型弁膜症27例である. 個々の症例ごとに術前心カテ施行時, 術後3, 6, 24, 48時間における一回仕事量(SWI)を算出し, Anoxic Index(AI:大動脈遮断時間の心筋温の積分値)並びに術前SWIと, 術後SWIとの相関性を検討した. 更に心臓カテーテル検査とシネアンギオグラフィーから種々の左心機能指標を求め, 術前SWIとの相関性を確認した指標については順次, 術後SWIとの相関性を検討した. その結果, AIは術後24時間まで逆相関を得たが, その後は相関性を失った. 収縮末期容積係数(ESVI), 駆出率(EF), 平均円周短縮率(mean VCF), 左室短縮率(FS), 左室収縮末期圧-容積係数比(ESP/ESVI), 収縮末期壁応力-容積係数比(ESWS/ESVI), Tension-volume Ejection Fraction(TVEF), 左室拡張末期圧(LVEDP)の8指標が術前SWIと相関した. そのうち, EF, ESWS/ESVI, TVEF, LVEDPの4指標が, 術後48時間に初めて術後SWIと再相関を得た. 以上, 壁応力を主とした左心機能指標からも, 左室容量負荷型弁膜症の弁置換術後急性期24時間までの左心機能は, 術前左心機能よりも術中心筋保護の影響がより大きく, 一方, 術後48時間以降の左心機能は心筋保護の影響が少なくなり, 術前左心機能の影響が大きくなることが明らかになった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 僧帽弁閉鎖不全症, 心筋保護, 壁応力, Anoxic Index
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