アブストラクト(36巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全血行再建はどこまで可能か-三枝病変を対象として-
Subtitle : 原著
Authors : 小西裕*, 伴敏彦, 岡本好史, 松田捷彦, 岡林均, 松本雅彦, 曽根田純一, 藤原康典, 神野君夫, 西村和修
Authors(kana) :
Organization : 京都大学医学部心臓血管外科, *和歌山赤十字病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 12
Page : 2566-2570
Year/Month : 1988 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈・冠状動脈(AC)バイパス術における完全血行再建を独自に定義して, 三枝病変を対象としたわれわれのACバイパス術がどの程度の完成度にあるかを検討した. 75%以上の狭窄を有するすべての冠状動脈を完全に血行再建するためには解剖学的に何本のバイパスを必要とするかを求め, これに対する施行バイパス数と術後の開心バイパス数との比率(%)をそれぞれ手術完成度と術後完成度とした. 術後すべてのグラフトが開存していたものをI群(31例)と, 一部のグラフトが閉塞したものをII群(30例)とに分けて比較した. I, II群間で手術完成度には差がなかったが, I群の術後完成度75%に対してII群のそれは37%と著しく劣った. II群はI群より病変数, 必要バイパス数, 施行バイパス数が有意に多く, 更に貫壁性梗塞, 心筋シンチグラム上の固定性灌流欠損, 高度壁運動障害などを有する領域に対するバイパスをより多く必要とし, また瀰漫性狭窄病変に対する内膜切除術の併用も多かった. 三枝病変を対象として, われわれのめざしてきたACバイパス術は目的通りの結果を得たI群の成績, すなわち解剖学的完成度75±20%である. しかしII群の症例のごとく, 幾つかの要因がグラフト閉塞に関与して, この完成度達成を困難としている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ACバイパス, 完全血行再建, 三枝病変, 解剖学的完成度
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