アブストラクト(36巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 虚血性心室性不整脈に対する心内膜Lugol液塗布法の研究-主に電気生理学的効果について-
Subtitle : 原著
Authors : 新田隆, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学第2外科胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 12
Page : 2581-2589
Year/Month : 1988 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心筋梗塞急性期の難治性心室性不整脈に対する外科治療の一法として心内膜Lugol液塗布法があるが, 著者は実験的に冠動脈結紮心に対し経左房的に左室心内膜にLugol液を塗布しその心室性不整脈に対する効果を検討した. Lugol液塗布前後で心室細動閾値を測定し, 心表面マッピング, 心筋の組織学的検査を行った. トレインパルス刺激法により測定した心室細動閾値は心筋虚血作製後著明に低下し, Lugol液塗布後では有意に上昇した. 塗布後QRS幅の延長が認められたが, 心表面マッピングは左脚ブロックパターンを示し, 房室伝導及び右脚伝導に対する影響は認められなかった. 心筋組織所見では, 心内膜下層までLugol液で染色され選択的にリンパ球浸潤を認めたが, 心筋層には著明な変化は認めなかった. 従って, 心内膜Lugol液塗布法は心内膜Purkinje線維を選択的に損傷し, その結果心室細動閾値を上昇させると考えられた. 心筋梗塞慢性期に合併する心室頻拍に対する最近の直達手術の治療成績は一応満足できるが, 急性期における難治性心室頻拍に対する手術治療は, その適応, 術式においていまだ種々の問題点が残されている. 本実験は経左房的左室心内膜Lugol液塗布法の心筋梗塞急性期における難治性心室性不整脈に対する有効性を示唆した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 急性心筋梗塞, 虚血性心室性不整脈, 不整脈の外科治療, Lugol液塗布法, 心室細動閾値
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