アブストラクト(36巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : IABPとLVAD同時駆動可能な新しい駆動システムの開発-同時駆動による自己心, 腎血流への影響について-
Subtitle : 原著
Authors : 長坂不二夫, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 12
Page : 2615-2624
Year/Month : 1988 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈内バルーンパンピング(IABP)の限界を越える開心術後の心ポンプ失調に対して, 左心補助人工心臓(LVAD)が注目されているが, LVADの臨床応用の際には, 前もってIABPが行われていることが多く, 両者の併用についての研究が必要である.著者は, IABPとLVADの両者の駆動時相を, 連動して容易に変化させうる新駆動システム(PBP-delay divide system)を試作し, 種々の時相で両者を駆動して血行動態的変化を検討した. 実験には12頭のブタを使用した. LVADは左房脱血, 下行大動脈送血とし, IABPは大腿動脈より挿入して, バルーンを下行大動脈内に固定した. そして, 両者を駆動して, 大動脈圧波形, 腎動脈血流量, 腎組織血流量を測定し, 更にendocardial viability ratio(以下EVR)等を算出した. 自己心に対する補助効果は, EVRで評価すると, IABPとLVADとを併用した場合の方が, 単独使用の場合よりも大であった. しかし, 両者を併用し, 同時相でcounter-pulsation法で駆動すると, 腎動脈血流量は著明に減少し, 且つ, 腎皮質・髄質の血流バランスも崩れた. これに対して, IABP又はLVADのどちらかにdelayをかけ, 一方を拡張前期, 他方を拡張後期に駆動すると, 腎動脈血流量は減少することなく, また, 腎内血流バランスも正常に保たれた. そして, この場合でも, EVRで評価した自己心に対する補助効果は十分であると考えられた. この新システムを用いることにより, 多臓器不全を予防できる可能性があり, 将来の臨床応用に広く対応できるものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : IABP, LVAD, 併用駆動法, 心補助効果, 腎血流量
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