アブストラクト(36巻12号:日本胸部外科学会雑誌)
Title : | Yクロマチン染色法による開心術後紅皮症本態の解明 |
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Subtitle : | 症例 |
Authors : | 布施勝生, 小西敏雄, 幕内晴朗, 久木田雅弘, 松下央*, 柴田洋一** |
Authors(kana) : | |
Organization : | 虎の門病院循環器センター外科, *虎の門病院循環器センター病理学科, **虎の門病院循環器センター輸血学科 |
Journal : | 日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : | 36 |
Number : | 12 |
Page : | 2646-2650 |
Year/Month : | 1988 / 12 |
Article : | 報告 |
Publisher : | 日本胸部外科学会 |
Abstract : | 開心術後に発生する術後紅皮症は重篤な合併症であるが, その原因として薬剤アレルギーが考えられてきた.近年, 本症の本態が輸血による移植片対宿主反応(GVHR)であると考えられてきたが, その確証は得られていなかった. 当施設では, 過去5年間に致死的な術後紅皮症を2例経験したが, うち1例の女性の剖検例において, 組織リンパ球のYクロマチン染色が試みられた. 10%ホルマリン固定の後, パラフィンで包埋された皮膚, 脾臓及び骨髄標本より得たリンパ球に本法を行ったところ, いずれの組織においてもYクロマチンを持ったリンパ球が証明された. これは, 女性の臓器に男性由来のリンパ球の浸潤している所見, すなわち輸血によるGVHRを確定するものである. 本例は, 開心術後紅皮症の本態が輸血後GVHRであることを示した最初の症例であるので, 他の1例の紅皮症と併せて報告する. 開心術後紅皮症は, 皮膚紅斑の他に, 汎血球減少症, 肝障害, 消化器症状などを伴い, 発症後2~3週で死に至る重篤な合併症であるが, その原因として薬剤のアレルギー反応が考えられてきた. |
Practice : | 臨床医学:外科系 |
Keywords : | 開心術後紅皮症, 輸血後GVHR, Yクロマチン染色 |