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感染性心内膜炎による弁の破壊が大動脈弁, 僧帽弁, 肺動脈弁に及び, これら3弁を人工弁で置換し, 合併する心室中隔瘤下の心室中隔欠損症を同時に閉鎖治癒せしめた37歳男性症例を報告した. 肺動脈弁置換を含む3弁置換例はまれであること, 肺動脈弁破壊に関する術前の正確な評価と認識が重要であること, 左右両心系にわたる心内膜炎変化とその成因の検討, 及び本例のごとき多弁置換例の問題点を若干の文献的考察を加えて報告した. 右心系, 左心系をともに侵す感染性心内膜炎は麻薬などの薬物中毒患者, 免疫不全患者などに少数見られるが1), まれに先天性心疾患患者に発症し報告されている2)～5). なかでも大動脈弁, 僧帽弁が侵され, 加えて肺動脈弁の破壊が著明で, これら3弁を同時に置換する必要のある症例は極めてまれである. 今回われわれは広範囲の感染性心内膜炎が発症した心室中隔瘤, 心室中隔欠損症患者に, 心室中隔欠損孔を閉鎖し, 大動脈弁, 僧帽弁, 肺動脈弁を機械弁にて同時に置換して良好な結果を得た症例を経験したので, 特に肺動脈弁置換を伴う多弁置換の問題点と6), 左心右心ともに罹患の感染性心内膜炎について若干の文献的考察を加えて報告する. |
