Abstract : |
ASD閉鎖術後11年目の孤立性右室無形成の1例に対し, 心臓カテーテル検査を行った. 症例は23歳女性で, 12歳の時にASD閉鎖術が行われ, 現在の活動能力はNYHA II度である. 体血圧130/73mmHg, 肺動脈圧17/5mmHgの時に, 心係数は2.40l/min/M2と低値であった. 右室拡張終期容積は, 術前の43ml(40ml/M2)から, 95ml(64ml/M2)へと, ほぼ正常値近くにまで増加した. しかし右心室の駆出率は0.38と低く, 右室収縮力の低下が考えられた. 左心室の駆出率は0.67と良好であったが, bicycle ergometerによる運動負荷に対する反応は不良であり, 左心機能の低下が示された. 本症例では両心機能の低下がみられ, 今後の注意深い経過観察が必要である. 孤立性右室低形成(isolated right ventricular hypoplasia)は, 右心室の低形成をもたらすような合併疾患(三尖弁閉鎖, 又は狭窄, 純型肺動脈閉鎖など)を伴わず, 右室の低形成のため卵円孔, 又は心房中隔欠損(ASD)を介して右左短絡を生ずる先天性心疾患である. |