アブストラクト(37巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腱索断裂による僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療の検討
Subtitle : 原著
Authors : 長津正芳, 中野清治*, 西田博*, 今村栄三郎*, 遠藤真弘*, 橋本明政*, 林久恵*, 小柳仁*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科, *東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 1
Page : 1-10
Year/Month : 1989 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 腱索断裂(TC)によるMRに対する手術例74例を対象とした. 病因は, 特発性(ID)50例, リウマチ性(RF)7例, 感染性心内膜炎(IE)11例, 外傷性その他(T)6例. ID群は僧帽弁逸脱症候群(MVP)24例, 高血圧症(HT)+MVP16例, 特定所見なし(I)10例であった. HT16例全例にMVPを認め, TCに至る途中経過としてのMVPという病態が示唆された. TC部位は, 前尖部TC31(a5, m16, p10)〈41%〉, 後尖部TC45(a4, m23, p18)〈59%〉で, IE1例に両尖TCを認めた.病因別にはID群は後尖, RF群は前尖のTCが多く, IE, T群は両尖ほぼ同数であった. 手術法は, MVRが68例, 弁形成が6例(Kay変法2例, 80年以降McGoon+Kay法4例)で, 同時手術を20例(TAP8, AVR5, ACBG4, 他3)に施行した. 手術死亡は2例(2.4%), いずれもMVR例で, 死因は左室破裂, DIC各1例. 67例を平均4.5年間追跡した結果, 遠隔死亡はMVR施行4例であった. 弁形成6例中5例に軽度のMR遺存を認め, うちKay変法の1例に3年後MR増悪を認めたが, 遠隔期の再手術及び死亡例はなかった. 手術効果は大きく, PCW(v)は35±13mmHgから13±4mmHgに下降, 大多数例で左心機能は正常化した. だが一方, 本邦報告集計において, 弁形成不成功後の再MVR12例中実に5例(42%)が死亡している点は注目を要する. われわれは, IE, 高度Floppy valve, 前尖の非限局性TC, 高度HTないし基礎疾患合併例ではMVRを第一選択とし, 後尖の限局性TC, 前尖でも交連部付近の限局性TCに対しては弁形成術を可及的第一選択とする方針である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 腱索断裂, 僧帽弁閉鎖不全症, 僧帽弁形成術, 僧帽弁逸脱症候群
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